屋根カバー工法とは?メリット・デメリットと費用相場
お役立ちコラム
こんにちは。所沢市の外壁・屋根専門店ラパンペイント代表の中山です。
「屋根の劣化が気になるけど、葺き替えは費用が高そう…」
そんなお悩みをお持ちの方におすすめなのが「屋根カバー工法」です。
カバー工法は、既存の屋根の上から新しい屋根材を重ねる工事方法で、葺き替えに比べて費用や工期を抑えられるのが特徴です。
この記事では、カバー工法の仕組みやメリット・デメリット、費用相場、葺き替えとの違いまで解説します。
屋根カバー工法(重ね葺き)とは?

屋根カバー工法では、既存の屋根材の上に防水シート(ルーフィング)を敷き、その上から新しい屋根材を取り付けます。
古い屋根材を撤去する必要がないため、工事にかかる時間と費用を抑えられます。
また、屋根が二重構造になるため、断熱性や遮音性が向上するのも特徴です。
主にスレート屋根や金属屋根の改修で採用されています。
屋根カバー工法で使用される主な屋根材
カバー工法で使われる屋根材は、軽量な金属屋根材が主流です。
中でも「ガルバリウム鋼板」は、耐久性・耐食性に優れた素材として多くの現場で採用されています。
近年はガルバリウム鋼板をさらに改良した「SGL鋼板(エスジーエル®)」も登場しており、より高い耐食性が期待できます。
カバー工法では屋根の重量を抑えることが重要なので、これらの軽量な金属屋根材が最適なのです。
屋根カバー工法のメリット
ここでは、屋根カバー工法の代表的な4つのメリットをご紹介します。
葺き替えより費用を抑えられる
カバー工法は古い屋根材の撤去費用や廃材処分費がかからないため、葺き替えよりも費用が抑えられます。
一般的に、葺き替えと比較して約30〜50万円ほど費用を抑えられるケースが多いです。
アスベスト含有スレートの場合、さらに差が広がる傾向にあります。
葺き替えと比べて工期が短い
屋根の撤去作業がない分、葺き替えよりも工期が短くなります。
一般的な戸建て住宅であれば、カバー工法の工期は約5〜10日、足場の設置・撤去を含めると全体で1〜2週間程度が目安です。
工期が短いことで、工事中の生活への負担も少なく済みます。
断熱性・遮音性が向上する
カバー工法により屋根が二重構造になるため、断熱性と遮音性が向上します。
特に金属屋根材は雨音が気になるという声もありますが、既存の屋根材が下地として残ることで、金属屋根特有の雨音を抑える効果があります。
夏場の室温上昇を抑える効果も期待でき、快適性の向上につながります。
アスベスト飛散リスクを軽減できる
2004年頃までに製造されたスレート屋根にはアスベストが含まれている可能性が高く、2006年9月の全面禁止までに製造されたものにも含有のリスクがあります。
こうしたアスベスト含有屋根であっても、カバー工法であれば屋根材をそのまま残して上から新しい屋根材を重ねるため、飛散を軽減して安全に施工できます。
また、廃材がほとんど発生しないので、アスベスト含有建材の特別な処分費用もかかりません。
<葺き替えとの比較>
アスベスト含有屋根でも葺き替えは可能ですが、大気汚染防止法や石綿障害予防規則に基づいた届出・隔離養生・湿潤化・特別管理産業廃棄物としての処分が必要となり、通常の葺き替えより費用が大幅に上がります。
こうした費用面・安全面の理由から、アスベスト含有スレート屋根の改修にはカバー工法が特に推奨されています。
屋根カバー工法のデメリット・注意点
メリットの多いカバー工法ですが、事前に知っておくべきデメリットや注意点もあります。
後悔しないためにも、以下のポイントをしっかり確認しておきましょう。
屋根の重量が増えて耐震性に影響する可能性がある
カバー工法は既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねるため、屋根全体の重量が増加し、耐震性に影響する可能性があります。
ただし、軽量なガルバリウム鋼板を使用した場合、増加する重量は瓦屋根と比べてはるかに軽く、一般的な木造住宅であれば問題になるケースは多くありません。
それでも築年数が古い建物や、現行の耐震基準を満たしていない住宅では注意が必要です。
心配な方は、施工前に専門業者へ耐震性の確認を依頼しましょう。
下地(野地板)が劣化している場合は施工できない
カバー工法は既存の屋根の上に新しい屋根材を固定するため、下地がしっかりしていることが前提です。
野地板が腐食していたり、雨漏りが発生している場合は、カバー工法ではなく葺き替えが必要になります。
施工前の点検で下地の状態を正しく判断してもらうことが重要です。
2回目のカバー工法はできない
すでにカバー工法で施工済みの屋根に、もう一度カバー工法を重ねることはできません。
屋根材を三重にすると重量が過剰になり耐震性に悪影響を及ぼすことや、既存の野地板まで固定ビスが届かず十分な保持力を確保できないためです。
2回目の改修が必要になった際は、葺き替え工事を行うことになります。
将来のメンテナンス計画も考慮した上で、施工を検討しましょう。
火災保険を使いたい場合は注意が必要
台風や雹(ひょう)などの自然災害で屋根が破損した場合、火災保険の適用を検討される方も多いでしょう。
火災保険は「原状回復」が原則であり、カバー工法のような全面改修は全額適用が難しいケースがあります。
ただし、災害による破損が明確であれば被災箇所の修復分に保険金が下りるケースもあります。
火災保険の利用を検討している場合は、事前に保険会社・施工業者の双方に相談することをおすすめします。
屋根カバー工法ができる屋根

カバー工法はすべての屋根に施工できるわけではありません。
ここでは、屋根カバー工法ができる屋根について解説します。
スレート屋根
スレートは厚さ約5mmと薄く表面が平らなため、そのまま新しい屋根材の下地として利用できます。
また、1㎡あたり約20kgと軽量なので、上から金属屋根材を重ねても建物への負担が比較的少なく、カバー工法に最も適した屋根材です。
金属屋根
既存の金属屋根に対しても、カバー工法で施工できる場合があります。
たとえば瓦棒葺きのトタン屋根は、下地の状態が良好であればカバー工法が可能です。
ただし、波型トタン屋根は表面の凹凸が大きいためそのままでは施工が困難で、野地板の増し張り等の追加工事で対応可能な場合もありますが費用が上がるためケースによっては葺き替えも検討されます。
一方、立平葺きの金属屋根は野地板の増し張りが必要になるなど、金属屋根の形状や葺き方によって対応可否が変わります。
屋根カバー工法ができない屋根

ここでは、屋根カバー工法ができない屋根について解説します。
瓦屋根
瓦屋根には、カバー工法を施工できません。
理由は主に2つあります。
1つ目は形状の問題です。
瓦は波打つような立体的な凹凸があるため、上から新しい屋根材を平らに固定することができません。
カバー工法は既存屋根の表面を下地として利用する工法なので、平滑な表面が前提となります。
2つ目は重量の問題です。
瓦は1㎡あたり約50〜60kgと重く、その上にさらに屋根材を重ねると建物への荷重が過大になり、耐震性に深刻な影響を与える恐れがあります。
瓦屋根のリフォームを行う場合は、既存の瓦を撤去して新しい屋根材に変更する葺き替え工事が基本となります。
劣化が激しい屋根
屋根材や下地の劣化が激しい場合も、カバー工法は施工できません。
カバー工法は既存の屋根に新しい屋根材をビスで固定するため、下地となる野地板が健全であることが前提です。
野地板が腐食していると十分な保持力が確保できず、新しい屋根材が浮いたり剥がれたりする原因になります。
また、すでに雨漏りが発生している場合は、屋根材の下で劣化が進行している可能性が高いため、上から覆っても根本的な解決にはなりません。
トタン屋根で錆びや穴あきがひどいケース、屋根材の割れや欠損が広範囲に及んでいるケースも同様に、葺き替え工事を検討する必要があります。
屋根カバー工法が必要な劣化サインとは?塗装との判断基準

<↑写真は屋根カバー工事のbefore>
屋根塗装で対応できる段階の症状としては、色あせや軽微なコケの発生、小さなひび割れなどが挙げられます。
これらは屋根材の表面が劣化し始めた初期症状であり、塗装によって防水性を回復できるケースが多いです。
一方、以下のような症状が複数見られる場合は、塗装では根本的な解決が難しく、カバー工法を検討した方がよいでしょう。
<カバー工法を検討した方が良いケース>
- 屋根材の反り・浮き
- 屋根材の割れや欠けが広範囲に発生している
- 棟板金の浮き・釘の抜け
- 屋根材のめくれや剥がれ
- 過去に塗装をしたが数年で再び劣化が進んでいる
特にスレート屋根は、表面の塗膜が劣化すると屋根材自体が水を吸い込むようになり、反りや割れが加速します。
この段階まで進むと塗装しても長持ちしないため、カバー工法による屋根全体のリフォームが適切な選択となります。
気になる症状が出始めたら、早めに専門業者の屋根点検を受け、屋根塗装とカバー工法のどちらが適切かを判断してもらうことが大切です。
屋根カバー工法の費用相場

カバー工法の費用は、屋根の面積や使用する屋根材、建物の形状によって変わります。
ここでは30坪程度の一般的な戸建て住宅を想定した費用の目安をご紹介します。
カバー工法の費用目安(30坪の場合)
30坪程度の戸建て住宅(屋根面積60〜120㎡程度)の場合、カバー工法の費用相場は約80〜150万円です。
費用の内訳としては、以下の作業が含まれます。
- 屋根材の施工費(6,500円/㎡〜)
- 防水シートの敷設費(800円/㎡〜)
- 棟板金の設置費(4,000円/m〜)
- 足場代(約15〜25万円)
使用する屋根材のグレードや屋根の形状(棟の数や勾配)によって総額が変わるため、正確な費用は現地調査のうえで確認が必要です。
葺き替え工事との費用比較
同じ30坪程度の戸建て住宅で葺き替え工事を行う場合、費用相場は約120〜200万円です。
カバー工法との差額は30〜70万円程度になるケースが多く、この差は主に古い屋根材の撤去費用と廃材処分費によるものです。
特にアスベストを含むスレート屋根の葺き替えは、大気汚染防止法に基づく届出や隔離養生、特別管理産業廃棄物としての処分が必要なため、費用がさらに高くなる傾向があります。
費用面だけで見ればカバー工法の方が有利ですが、下地の劣化や雨漏りがある場合は葺き替えが必要になるため、屋根の状態に応じた判断が大切です。
屋根カバー工法の適切な時期と築年数の目安
カバー工法を行うタイミングは、屋根の劣化状態と築年数が判断基準になります。
最適な時期を逃すと、葺き替えが必要になりコストが上がる可能性があります。
築10〜20年:カバー工法に最適な時期
スレート屋根の場合、築10〜20年がカバー工法の適切な施工時期です。
この時期であれば、屋根材の表面は劣化していても下地はまだ健全な状態であることが多いためです。
築10年前後であれば塗装で対応できるケースもありますが、屋根材の反りや割れが進んでいる場合はカバー工法が適しています。
築20年超え:葺き替えも視野に入れる
築20年を超えると、屋根材だけでなく下地の野地板にも劣化が進んでいる可能性があります。
下地が健全かどうかは外からの目視だけでは判断が難しいため、専門業者による点検が欠かせません。
点検の結果、下地に問題がなければカバー工法で対応できますが、劣化が進んでいる場合は葺き替えが必要です。
屋根カバー工法の施工手順4ステップ
カバー工法の施工は、大きく4つのステップで進みます。
1. 既存屋根の点検・下地調査
まず最初に、既存の屋根の状態を点検し、カバー工法が施工可能かどうかを判断します。
屋根材の劣化状況や下地の状態、雨漏りの有無などを確認します。
この点検結果をもとに、使用する屋根材や工事の範囲を決定します。
2. 棟板金・雪止めなどの撤去
カバー工法では、まず既存の棟板金・貫板(ぬきいた)・雪止め金具などの役物(やくもの)を撤去します。
これらを取り外すことで、新しい屋根材を平らに施工できる下地が整います。
3. 防水シート(ルーフィング)の敷設
既存屋根の上に、防水シート(ルーフィング)を敷設します。
このルーフィングが屋根内部への雨水の浸入を防ぐ重要な役割を果たします。
カバー工法の防水性能を左右する大切な工程のため、丁寧な施工が求められます。
4. 新しい屋根材の取り付け・棟板金の設置
防水シートの上から、新しい屋根材を取り付けていきます。
まず軒先水切り(唐草)※とケラバ水切り※を設置してから、軒先から棟に向かって順番に新しい屋根材を葺き上げます。
最後に貫板(棟の下地となる板)と棟板金(屋根の頂上部を覆う金属の蓋)を設置して完了です。
※唐草:屋根の下端に雨水が回り込むのを防ぐ金属部材
※ケラバ水切り:屋根の側面端に雨水が回り込むのを防ぐ金属部材
屋根カバー工法で失敗しないための業者選びのポイント
カバー工法の仕上がりや耐久性は、施工する業者の技術力に大きく左右されます。
信頼できる業者を選ぶためのポイントを押さえておきましょう。
板金工事の実績が豊富な業者を選ぶ
カバー工法は金属屋根材を扱う「板金工事」に分類されます。
塗装工事と屋根の板金工事は専門分野が異なるため、カバー工法の施工実績が豊富な業者を選ぶことが大切です。
施工事例の写真や実績件数を確認し、カバー工法の経験が十分にある業者に依頼しましょう。
なお、ラパンペイントでは屋根塗装だけでなく屋根カバー工法の施工も数多く行っておりますので安心してご依頼いただければと思います。
<ラパンペイントの屋根修理の施工事例一覧>
https://www.lapin-paint.com/works-cat/roof-repair
事前の屋根点検・見積もり内容を確認する
信頼できる業者は、必ず施工前に屋根の点検を行い、写真付きの報告をしてくれます。
見積書の内訳も「一式」ではなく、材料費・施工費・足場代・防水シートなどが明確に記載されているかを確認しましょう。
複数の業者から相見積もりを取ることで、適正な価格かどうかも判断しやすくなります。
屋根カバー工法に関するよくある質問(FAQ)
Q. 屋根カバー工法の工事期間はどのくらいですか?
一般的な戸建て住宅の場合、カバー工法の工事期間は約5〜10日が目安です。
足場の設置・撤去を含めると、全体では約1〜2週間を見ておくとよいでしょう。
ただし、屋根の形状や面積、天候によって前後することがあります。
Q. カバー工法をした屋根に太陽光パネルは設置できますか?
カバー工法後の屋根にも太陽光パネルの設置は可能ですが、注意が必要です。
カバー工法後の屋根に太陽光パネルを設置する場合、支持金具(キャッチ工法)で固定するタイプか、ビス穴を開ける工法かで難易度が変わります。
ビス穴からの雨漏りリスクを避けるため、金具工法対応の屋根材(縦ハゼ葺きなど)を選んでおくと将来的な設置がスムーズです。
太陽光パネルの設置を予定している場合は、カバー工法の施工前に業者に伝えておきましょう。
Q. カバー工法後のメンテナンスは何年ごとに必要ですか?
カバー工法で使用されるガルバリウム鋼板の耐用年数は約25〜35年が目安です。
ただし、棟板金のコーキングや塗膜の劣化は先行して劣化が進むため、10〜15年を目安に定期点検を受けることをおすすめします。
早めのメンテナンスが、屋根全体の寿命を延ばすことにつながります。
屋根カバー工法のまとめ

屋根カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねることで、費用と工期を抑えながら屋根をリフレッシュできるリフォーム方法です。
断熱性や遮音性の向上、アスベスト飛散リスクの軽減など、多くのメリットがあります。
一方で、下地が劣化している場合は施工できないこと、2回目のカバー工法はできないことなど、事前に理解しておくべき注意点もあります。
最適な工法を選ぶためには、まず専門業者による屋根の点検を活用しましょう。
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